スパイダーマンの新作映画「スパイダーバース」が公開されました。
2019年の第91回アカデミー賞で「長編アニメーション賞」を受賞したこの作品、めっちゃくちゃに面白かったのでご紹介します!
ざっくりと、よかった点はこんな感じ。
・キャラクターの魅力
・吹き替えが最高
あらすじ
基本的には過去の実写スパイダーマンとの時系列的な繋がりはない、独立した作品です。なので過去作見てなくても大丈夫。あらすじはこんな感じ↓。
・とある事件でマイルスの世界と別の次元が繋がり、別次元のスパイダーマン達が結集
・異次元への扉を開こうとする敵をみんなで倒す、スパイダーマン達を元の世界に帰す
映画『スパイダーマン:スパイダーバース』予告3(3月8日公開) from 映画『スパイダーマン:スパイダーバース』公式 on Vimeo.
これまでのスパイダーマンと違うのは、「主人公の世界にすでにスパイダーマンがいる」点。
超人的能力を得た少年マイルスは、もともと存在するスパイダーマンと接触し「大いなる力には大いなる責任が伴う」ことを自覚。自分も大きな責任を果たそうとします。
しかし、命の危険もあるヒーローとしての生き方は簡単に決心できるものではなく、いざ戦いになると逃げて守られてばかり。。
そんなマイルスが、頑張って努力し、失敗し、くじけ、それでも立ち上がって成長する姿、そしてその姿に影響を受けて周囲の人々にも変化が生まれる様子を、丁寧に描いています。
アートのような映像と”異次元”感
良かった点あげるなら、まず出てくるのがアニメーション映像の凄さ。特に印象的だったのは、今作のキーとなる「異次元」の演出。
今作の舞台である世界と別の次元が繋がるとき、異様な色彩で世界が覆われ、別次元の造形物がごちゃ混ぜな形で出現します。異次元の造形物のサイケデリックな色・形が街を侵食する様子、どことなく「まどマギのようなイヌカレー的演出」を彷彿させる美しさが印象的です。
さらに終盤、色鮮やかな造形物がせめぎ合う異次元ごちゃ混ぜ空間での戦闘シーンがすごい。過剰な色彩の世界での派手なアクション、チームで連携しながら戦う熱さは、アニメならではの演出でしょう。
また他にも目を引くシーン、「それだけで絵になるような美しさ」のシーンが多いです。
スパイダーマンが「紅葉の森」や「夜の街」を華麗に飛び回るシーン、主人公のマイルスが地下鉄の壁にスプレーアートを描いているシーンなどなど。1シーン1シーンが美しく、アート作品を見ているような気分になって作品に引き込まれていきます。
また、ちょいちょい挟まれる「アメコミ風のタッチで描かれるシーン」もめちゃかっこよく、迫力あるアクションシーンをより印象的なものにしています。
キャラが魅力的
映像はもちろん、魅力的なキャラが多いのも特徴です。キャラが多いのにしっかり活きてるからすごい。もっと時間かけて掘り下げてほしいキャラがたくさんいました。
・いい味出してる大人キャラ
・魅力的すぎるので、1クール使って掘り下げてほしい6人たち
マイルス・モラレス
主人公「マイルス・モラレス」はスパイダーマンがヒーローとして活躍する世界で生きる少年。
「大いなる力」を手にして、「それに伴う責任」も感じているマイルスが「勇気を出して飛ぶ」までの成長物語にめちゃ勇気をもらえます。
人間味ある大人たち
マイルスの物語だけでも十分王道で熱くなれる作品です。
しかし、彼の周りの”人間味ある魅力的な大人キャラ“が、作品を深みあるものにしています。
まず「ピーター・B・パーカー」。別の世界で活躍していたスパイダーマン。だらしなくお腹の出た中年のスパイダーマン。人生がうまくいっていないダサいおじさんという風貌ですが、困っている人がいたら迷わず命を投げ出せるようなヒーローです。
年下に奢ってもらったり、スウェットで街を歩くダサい一面もあれば、マイルスの師・兄貴分としていつも気にかけるかっこいい一面もあります。どの面も人間味あふれていて、親しみやすく魅力的。
そして彼自身、マイルスの成長を近くで見ることで自分の人生に向き合うようになっていきます。少年のマイルスが「勇気を出して飛ぶ」だけではないのがこの物語の魅力。大人の視聴者はマイルスより、ピーターの生き方に感情移入するかもしれませんね。
またマイルスの父親も重要な人物。警察官で頑固なところのある分、マイルスとうまくコミュニケーションができていない父親。しかし彼もこの物語で関係性の大切さに気がつき、不器用ながらもしっかりマイルスと向き合うようになっていきます。
大人達の悩みながら生きる様が、この作品を多くの人に刺さるにドラマに仕上げているのだと思います。
異次元のスパイダーマンたち
別の次元からやってきたスパイダーマン達もキャラが立っていて素晴らしい!
今作のヒロイン的立ち位置のグウェン・ステイシーは白いパーカーの女性スパイダーマン。スパイダーマンノワールは白黒で、敵との殴り合いを好むハードボイルドなヒーロー。ペニーパーカーはクモのロボを操る女子中学生。もうとにかく可愛い。スパイダーハムはコミカルなキャラクターだけど、意外と活躍シーンがあったり。
グウェンは主要キャラとして物語に大きく関わってきます。もちろん他の3人も活躍の場はあります。が!! できればもっと活躍するシーンとか、キャラ同士の関係とか見たかった!!!そう思えるくらい素敵なキャラ達です。もしフィギュアとか出たら欲しくなってしまうなー。
吹き替えがおすすめ
・映像がすごいので、文字追うのがもったいない
・アニメなので吹き替えに違和感が少ない
主要キャラのスパイダーマン達の声優陣はこの方々。
・ピーター・B・パーカー:宮野真守
・グウェン・ステイシー:悠木碧
・ピーター・パーカー(スパイダーマンノワール):大塚明夫
・ペニーパーカー:高橋李依
・ピーター・ポーカー:吉野裕行
まとめ
実写のスパイダーマン(特に無印とアメイジング)と比べると、雰囲気は重すぎず、少年漫画を読んでいるような爽やかな気分で観れます。
それでいて、スパイダーマン作品のエッセンスがしっかり盛り込まれています。キャラの成長物語・失敗しても立ち上がることの大切さ・家族の大切さなど、扱うテーマがしっかりしているので、内容が軽いと感じることはありませんでした。
映画館で見てこそ、ダイナミックな映像を余すことなく楽しめると思います。興味のある方はぜひ観てみてはいかがでしょうか!